The man called KAGARI

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自分はマダオであります。
どうしようもなく、マダオであります。
マダオというのは銀魂という漫画で出てくる
「『ま』るで『だ』めな『お』っさん」
の事です。
しかし漫画と違い現実には35才にもなる男に面と向かってそんな蔑称を投げかけてくる人はいません。
どんなに親しくとも。
それが大人というものです。
大人とは忙しいものなのです。
マダオにマダオと言ったところで得られるものなんかありません。
大人はそれを知ってるのです。
そして大人ともなれば自分で気付いて欲しい、いや気付いているだろう、ならば俺からは何も言う事は無いさ……と、子供にはできないハードボイルドな付き合いをするものなのです。
大人の距離感です。
大人の空気感です。
カガリアキト。
HIGH FLUXに今夏、新加入したギタリストであり、
「お前はほんまマダオやなぁ!死ね!」
と自分に初めて、そして唯一マダオと言ってきた男でもあります。お前が死ね!
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カガリさんとの付き合いはもう10年以上にもなります。
がむしゃらに名を上げようとしてた20代前半、バンドマンというのがよくわからず、打ち上げで何をすればいいかわからない、何を話せばいいのかわからない、そんな風にびくびくしながらビールをすする自分から見て、やたら楽しそうに関西弁で大樹と喋ってる人がいるな、ああいう人とは仲良くなれんな、ああいう人はすぐ自分みたいなの見つけて格好の獲物だ!みたいに弄りだすからな、それでこっちは無理矢理苦笑いする羽目になるんだ、真っ平御免だ、と思ったものです。
まぁ、全部その通りになったのですが。
しかし気がつけば彼がやってたバンド、茅蜩(後のVish)と我々との縁は切っても切れないものとなりました。
特にそのバンドのリーダーであったカガリさんとの縁は、自分でも不思議なくらい断ち切り難いものとなりました。
一緒にツアーを周り、一緒に酒を飲み、一緒にバンドをやり……。
それは彼がいったんロックバンドから身を引いても何故か続いた縁でした。
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カガリさんはその高田純次的発言とは裏腹に非常に理論的、かつ実践的な視点で音楽に携わる人です。
重厚なるバックボーンを土台に制作のゴール地点まで最短距離で駆け抜ける人です。
突然の加入のように思われますが、彼は元々HIGH FLUXにアレンジャーとして参加してました。
ギタリストとしてのキャリアと同時にサウンドディレクターとしてのキャリアも積んできた人です。
この度LIVEの現場に出てくることになったという事も当然であり必然だったと言えるでしょう。
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加入するとなった時、彼は僕に言いました。
「まぁルナシーでゆうたら大ちゃんがSUGIZOで俺がINORANって感じでいこか!」
と。
僕はこいつは何を言ってるんだろうと思いました。
というか何故ルナシーで例えるんだろうと思いました。
あとそんな関西弁のINORANはいないと思いました。
ついでにこんな会話をこの2人でしてる所を生粋のslave(ルナシーのファンの事)に聞かれたら殺されるな、と思いました。
「わかった。じゃあ俺がSUGIZOで」
と、僕が言うと思ったのでしょうか。
言うわけがありません。
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とはいえ、かの偉大にして美麗なるツインギターに例えられたから、というだけで否定したわけではありません。
彼が僕の引き立て役になろうとしてる意図が見え隠れしたからです。
こう言ってはなんですが、はっきり言ってそんな意図は無駄になるだろうと思ったからです。
寡黙にして実直な職人と享楽的にて天才肌な遊び人が無理なく同居する男。
それがカガリアキトという男です。
世間が、世界が、その泥沼のように美しき音にハマるのも時間の問題だと思ったのです。
彼の「違和感だらけの違和感の無さ」が鳴らす音を、生活の中で、生きていく中でついつい探してしまうだろうと思ったのです。
自分は『03』のレコーディングが終わった今、前にも増してそう思います。
この苦悩を、葛藤を皆さんにも感じて欲しい。切にそう願うのです。
既に泥沼にいる被害者の一人として。
以上!
〜〜メンバー紹介・関西弁のギター編終了〜〜
『03』の発売はもうすぐ!!!
HIGH FLUX・眼鏡の方のGt・吉田大佑